豊橋駅Toyohashi改札内「壺屋」さん
そば２９０円
旅と鉄の盲腸 ＞ 旅の小ネタ。 ＞ 駅そばのダシ・濃い口うす口の境界線 ＞ その９．飯田線コース
その９．飯田線コース
さてさて、飯田線のおそばはどうなっているんでしょう。中山道コース同様、「そば王国」長野県に続く路線だけに、非常に気になります。
また、飯田線は車窓がとても美しい路線でもあります。このページでは、そばを食べながら、沿線の車窓についても少し触れたいと思います。
| 豊橋駅Toyohashi 改札内「壺屋」さん そば２９０円 |
こちらは名古屋近郊にあって珍しい濃い口ダシ。これがどう変わってゆくのか。楽しみにしつつ出発です。
豊橋から小坂井付近までの間、飯田線は名鉄名古屋本線と線路を共用して走ります。ＪＲの電車に乗っているのに、名鉄電車とすれ違ったりして、電車好きには結構楽しい風景が広がります。
豊橋からおよそ１５分、５駅で次のそば駅、豊川に到着です。
 豊川駅Toyokawa改札外「壺屋」さん 月見そば３４０円 |
この駅も美濃太田同様、立派な橋上駅に生まれ変わっています。名鉄電車の豊川稲荷駅も至近。豊川といえばその名のとおり、豊川稲荷への最寄り駅でもあります。
ここのそば屋さんなんですが、駅舎とは別棟になってまして。普通のそば屋さんかなと思いつつ、立席主体の立ち食いそば屋さんです。駅の改築によって移設したのか出来たのか、まだ新しいです。
は、で、ここのそばなんですが、豊橋同様、濃い口ダシ。入っているそば屋さんが同じだからか、豊橋駅とかなり似たお味でございました。月見を頼んだのに、あげとか蒲鉾とか入って、何げに豪華であります。
ここまでは電車も１５分間隔で走っていますが、この先新城までは１時間に２本、さらにその先本長篠までは１時間に１本、さらにその先は１時間に１本未満、とだんだん本数が落ちて行きます（データイムの場合）。列車本数が示すとおり、このあたりから沿線は次第に緑が濃くなり、山岳部に分け入っていきます。
また、飯田線は本州を縦断する路線ということもあり、ほぼ全線にわたって川に沿って走る路線です。愛知県内では豊川と宇連川が、静岡県に入って天竜川と水窪川が、長野県内では天竜川が車窓のお供です。特に宇連川は別名板敷川と呼ばれ、川床が板を敷いたように平らな石で埋め尽くされています。湯谷温泉駅付近で右手に見ることができます。
鉄道関係では中部天竜にある「佐久間レールパーク」が有名ですね。かつて全国を走った車両が静態保存されています。
一躍有名になった小和田駅を通り、視界が開けてくると飯田市。すでに長野県に入っています。
 天竜峡駅Tenryukyo改札内外「伊那谷駅弁」さん 月見そば３３０円 |
はい、こちらは飯田線の中継駅のひとつ。辰野側からここまで入ってくる電車も結構あります。名勝・天竜峡は駅からすぐ近くです。
で、おそばのほうは・・・。結構意外でしたがナゴヤ風ダシでした。こここ、こんなところに境界が・・・。しかも長野県に入ってナゴヤ風というのは、全体的に見て逆な境界ですよね。
この間、鼎駅にそば屋がありますが、まだ食べてません（汗。時間の都合で降りられませんでした。）。
 飯田駅Iida 改札内外「伊那谷駅弁」さん 月見そば３３０円 |
鼎の次にそば屋があるのは、ここ、飯田。路線の名前にもなった、南信地方の中心都市です。
この駅のそばもナゴヤ風ダシ。写真からもお分かりいただけるかと思いますが、色も若干ではありますが薄目です。味は甘く、ナゴヤ風ダシの中でもとりわけ岐阜県内の味に似ている、という印象を強く受けます。
で、よく考えてみますと、ここから西へ山を越えた向こう、高速バスで約１時間のところにあるのが岐阜県中津川市です。つまり、長野や松本よりはるかに近いわけです。またバスの本数からも結構交流が深いことが読みとれます。人の交流が深ければ、食の交流もまた深い。ということで、ここでは長野県よりも岐阜県の影響を強く受ける地域なのかしれません。
そう考えてみると、駅のそばとはいえ、なかなか興味深いものがあります。
 駒ヶ根駅Komagane改札外「伊那谷駅弁」さん そば２８０円 |
続いて駒ヶ根です。こちらは濃い口。ここで境界です。このままナゴヤ風ダシが続いたらどうしよう、と密かに思っていただけに、正直安心しました。お品書きに「月見そば」はないのですが、希望するとスペシャルメニューで作っていただけるようです（３３０円）。あきらめてかけそばをすすっている横で、おぢさんがフツーに「玉子落として」と注文している現場に遭遇して愕然とする私でした。
・・・このあたり、車窓左手には雄大な中央アルプスの風景が広がります。駒ヶ岳、空木岳など、窓枠が額縁になって、一幅の絵画を見ているかのような風景が続きます。
 伊那市駅Inashi改札内外「伊那谷駅弁」さん 玉子そば３３０円 |
その次は伊那市。ここも濃い口です。そばの画像ですが、これは写りが暗かったため補正をかけたものです。決して本物がこのような毒々しい色をしているわけではありません。念のため。
ここから先、飯田線の終点駅・辰野には「ちょっと食べ処」があったものの、立ち食いではありませんでした。せっかくなので、飯田線の電車が出入りする中央本線を覗いてみましょう。
 岡谷駅Okaya改札内外「アドレスト長野」さん 月見そば３３０円 |
飯田線の電車の多くが起終点とする駅です。駅名標の色が変わりましたね。さきほどの辰野駅からＪＲ東日本管内に入っています。
おそばですが、甘ーいナゴヤ風ダシ。正直、驚いてしまいました。長野のど真ん中でこの味が出てくるとは・・・。完全に予想外です。ただ、中央本線の塩尻を見ていただければわかるとおり、ここはナゴヤ風の飛び地になります。
ここからは、その中央本線が塩尻・松本方面へ分岐します。こちらをご覧になりたい方は、
本州縦断中山道コースにお乗り換えになります。
もうひとつ先に行ってみましょうか。
 上諏訪駅Kamisuwa改札内外「アドレスト長野」さん かけそば２８０円 |
こちらは上諏訪、温泉と湖の街ですね。私もここは好きで、よく訪れますが、駅のそばは初体験。どんな味でしょうか。
こちらは濃い口。長野といえばこの味。意味なく安心してしまいます。上諏訪駅、ありがとう。
・・・ということで、駅そばのダシ、
飯田線コースの境界線は豊川−天竜峡間
（濃い口ダシ〜ナゴヤ風ダシ）、
飯田−駒ヶ根間
（ナゴヤ風ダシ〜濃い口ダシ）、
でした。